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column|循環 vol.1

来冬に向けて、今新たなコレクションに取り組んでいます。
evam eva 2022年秋冬 のテーマは、循環。

先人の営みに思いを馳せながら、巡りゆく季節の中で何を思い、感じるか。私たちがつくり出すものの一つ一つが、この先の未来を紡いでゆく。それは、移ろいゆく時間の流れの中では当たり前のことであるのに、時に、未来への責任としてその事実を重く受け止めてしまいます。複雑に絡み合っているように見えるものごとは、実はもっと単純な、日々の営みの積み重ねであるかもしれません。
ものや人との繋がり、そして時の流れが紡ぎ出す循環をテーマにしたこのコレクションでは、本来捨てるはずの端材やくずをアップサイクルした新たな素材や植物、果実などの天然染料から染めを施した洋服を提案します 。

こうした新しい取り組みは、私たち自身が一人のつくり手として積み重ねてきた営み、そして各地でものづくりに携わる人々との繋がりの中でかたちになりました。この連載では、この取り組みを始めるに至った背景や思いなど、取り組みに賛同し、ご協力いただいた他のつくり手の方々への取材を交えてお届けします。

つくり手として

私たちには、つくり手としての姿勢がその根底にあります。先代が営んでいたものづくりの現場を省みると、そこはつくり手同士が直に互いの膝を付き合わせながらものづくりを行う、活気に溢れた場所でした。時代が経つにつれ、大きな仕組みの中でそうした繋がりは間接的なものになっていきました。それによって、より効率的にものづくりが行えるようになった反面、そこでこぼれ落ちてしまったものも確かにあると感じます。この分断の時代において、改めてつくり手同士の繋がりを深めることによって、より大きな循環の流れを生み出すことはできないか。そんな試みは、まずは自分たちの日々の暮らし、自然との関わり合い、そしてものづくりへの姿勢を見つめ直すことから始まります。

自然溢れる山梨の地で、自然のもつ大きな循環の流れの中に身を置きながら、 私たちの日々の暮らし、そしてものづくりは環を成すように繋がっていきます。 素材の選定や仕立て、それらの細部へのこだわりは、つくり手として自分たちが良いと思うことの積み重ねから生まれています。そしてそれは、つくったものを永く着続けてもらえるようにすることだけでなく、ものをつくり過ぎないことや、材料を余さず使い切ること、といった意識にも繋がります。環境への配慮といった意識より前に、自ずと湧いてくる疑問に対し、自分たちで考えて工夫する。このつくり手としてのものづくりへの姿勢は、ブランドの立ち上げから今に至るまで続いています。

evam evaの商品には補修用の糸や生地、スペア釦をお付けしています。小さな綻びを繕いながら、何十年と着る人の暮らしに寄り添うものであれたら、という思いからこうした取り組みを続けています。お直しのご依頼の際、この糸を一緒に送ってくださる方もいらっしゃいます。

また、端材から生まれたポーチやティッシュケース。裁断で余ってしまう部分を無駄にしないよう、限られた資源を最大限に生かして、ノベルティとして皆さまの手元へお届けしています。

こうした自分たちでできる取り組みを続ける中で、各地でものづくりに携わる人々との繋がりによって、より大きな循環の流れが生み出せるのではないか。そういった思いから今回の取り組みが生まれました。

繋がりから循環を

今回の取り組みは、本来捨てるはずの端材やくずを集め、形を変えてアップサイクルするというものです。アップサイクルとは、本来捨てられるはずのものに一手間加えることで、新しい価値を生み出す取り組みです。資源を元の状態に戻して再利用する点ではリサイクルと同様ですが、アップサイクルするものの特性を生かし、新たな魅力を引き出すということに特徴があります。

アップサイクルの新たな試みで生まれた、renew – wool と繭毛羽。
renew – wool は、毎シーズン展開しているプレスウール製品の生産過程で出る端材を一度反毛にかけ綿の状態に戻し、繊維長の異なるウールと混ぜ合わせて再度紡績し、糸に蘇らせます。ウール本来の風合いを損なわないよう甘く撚りあわせた糸は、ふっくらと手紡ぎのような豊かな表情が生まれます。古くから続く繊維業の町、大阪府泉大津の企業の方々にご協力いただきます。

繭毛羽とは、蚕が繭をつくる際に自らの足場として最初に吐く繭のまわりを覆った綿のような糸で、蚕の糞や桑の葉などが付いており、生糸にはならないため除去されてしまう部分です。その糞や桑の葉を丁寧に取り除き、原料として使える形に戻します。粗野な質感の繭毛羽に柔らかなウールを合わせて繊維の方向を揃えながら糸にすることで、シルクの上質な風合いが蘇り、上品ながらどこか素朴なやさしさが宿ります。山梨で150年以上続けられている養蚕農家の方にご協力いただきます。

これらの取り組みは、こちらからの働きかけに賛同してくださった他のつくり手の方々が知恵を出し合い、工夫を重ねることで形となりました。
それぞれのつくり手自身が考え、繋がりによって仕組みをつくる。そうした小さな試みが、大きな環となるように。こうした思いをもとに、幾多のものや人の繋がりで生まれる循環の中で新しい顔をもって生まれ変わったものをお届けできれば、と思います。

次回は、renew – woolがどのようにして生まれたのかを今回ご協力いただく企業の方々のお話を交えてお届けします。

© kondo knit co.,ltd.