2度目の個展開催にあたり、工房兼住居にお伺いしました。
静かに佇むうつくしい作品はどのように生まれ、五十嵐氏はどのような暮らしを送っているのか。木工作家 五十嵐裕貴氏のご紹介です。
山梨県北杜市の山あい、点在する住宅地の間に山林がひしめくエリア。その山林を切り開いたところに、五十嵐氏の工房兼住居はあります。
人里離れたその場所で、心の赴くままに手を動かし、自ら家を建て、作品を制作しながら暮らす五十嵐氏。一見すると孤独な営みですが、自身の手によって一からつくられたものや空間からは、凛とした生命力を感じます。
木をつかった制作のはじまりは、自分ひとりでつくれる、という理由から。昔は小さな一軒家の一部を工房としていましたが、その後、ものづくりのスケールの変化とともに場所を移し、現在の北杜の広々とした地にたどり着きます。
自身で建てられた工房兼住居は、ほんのり木の香りのする心地よい空間。対して工房の外は、制作のため大小様々な形に切り出された原木が無造作に置かれていたり、また生活の道具や修理中の車が置かれていたりと、どの場所も暮らしの一部であることが伺えました。
生活と制作の間を分け隔てることなく、木という生きた素材と向き合う五十嵐氏。
木一つひとつがもつ腐食や木目のゆらぎを見極め、それぞれにあった形へと落とし込んでいく作業。
自然の年月と五十嵐氏の手と目を通して生み出される作品は、永いときを重ね、朽ちゆく美しさを静かに私たちに語りかけます。
9月に開催する gallery 形での2度目の個展では、お皿や鉢のほか、今展のために制作されたテーブルやスツール・キャビネットも並ぶ予定です。
静謐でありながら、ぬくもりを感じ、ひとつとして同じ表情を見せない作品。
ぜひ足をお運びください。
五十嵐裕貴 個展
日程|9.18(土) – 10.4(月) *水曜定休
日時|11:00 – 19:00
在廊日|9.18(土)・19(日)在廊
会場| evam eva yamanashi 形